相続税路線価について
被相続人の残す遺産について、それを相続人が相続する遺産の種類は非常に多岐にわたります。基本的に遺産とされる物は換金が可能な事が前提となっていますが、それぞれの価値評価に基準があります。不動産もその一つであり、不動産そのものではその価値を算定する事が出来ません。不動産の場合には、基本的に路線価を算定基準に選ぶのですが、この土地価格にもいくつかの概念が存在します。
- 売買取引価格
- 公示価格
- 路線価
- 固定資産評価額
この土地価格の基準はそれぞれに特徴があります。
1.の売買価格は、実際に取引がなされる土地価格ですが、周辺の将来性による価格の期待値や、便利さ等の特殊事情や時勢事情による価格のブレが反映されていますので、変動しない基本価格との間に大きな差があります。次に2.の公示価格ですが、これは国土交通省が公共事業用地として、用地取得に用いるための土地算定基準です。また3.の路線価とは、国税庁が算定する土地価格基準です。最後4.の固定資産評価は、市町村が定める算定方式です。この様に土地の価格を算定する方法は、様々な算定基準が採用されますが、相続税は国税庁の管轄となりますので、路線価が採用されています。従って相続税路線価は、最寄りの税務署で確認をする事ができます。この相続税路線価は、現在売買取引価格の8割程度の価格で取引がなされています。
実は土地の相続税の課税金額を考えた場合、この売買取引価格、つまり実勢価格と路線価の間には2割程度の開きがあるため、相続税対策としては土地を売買せずに路線価のままで評価を受けた方が、相続税が少なくて済むというメリットがあります。但し、路線価は毎年更新がなされており、その更新基準の変動値によっては現金より、路線価価格の方が上回る可能性も否定出来ませんので、相続のタイミングにより価格比較を行う事が大事です。また路線価評価がなされていない場所である場合は、固定資産評価額が採用される場合があり、その場合は倍率方式が採用されますので、それにも注意が必要です。