分籍について
未婚の者が親が筆頭者である戸籍から、なんらかの理由で、自らが筆頭者となる戸籍を作成しようと考えても、通常は婚姻以外で戸籍が転籍される事はありません。つまり戸籍上、親が筆頭者である戸籍から、自分が転籍扱いとなるには、唯一の方法である婚姻をするしか方法がない訳です。また、転籍をすれば自分が筆頭者の新戸籍を作る事となり、自動的に自分を筆頭とする戸籍が出来ますが、その法的な取り扱いの違いは何もなく、記載事項についても、変わりのない内容なのです。つまりそれ相当のなんらかの理由がない限り、分籍を行うメリットはあまりないと言える訳です。
相続上の観点から見れば、相続人となったからといって分籍をする必要性はなく、また何らかのメリットもありません。また分籍をしてしまった方が、相続人となってもそれ以前の戸籍と比較して損をする事も何もありません。つまり、相続を行う事になる事で、分籍をしなければならない理由は全くないという事です。よくある勘違いが、負債を多く持つ親の遺産を、相続せずに済むように分籍をする事で、戸籍上無縁にする事を目的に分籍を行う方がいますが、上記で紹介した様に、相続上においてはその意味は全くなく、その権利は消失していないのです。あくまで被相続人から見て、相続者が誰であるかが問題ですので、相続を受けたくない場合は、あくまで被相続人が死亡し、相続がなされたタイミングで相続の放棄を行うのが良い方法と言えるでしょう。
相続上の何らかのメリットを考慮して、実際に行動を起こしても、費用的にもデメリットだけが残り、目的とする効果については何も得られなかったという事の無い様、法律の専門家である弁護士等にその目的を説明し、実質的な効果とメリットのアドバイスを受けた上でどうするかを決めると言うのが、回り道で面倒でも間違いのないやり方であるのは言うまでもありません。相続上の悩み事を持つ方は、出来るだけ専門家に相談する様にしましょう。