特別縁故者について
財産を持つ被相続人が、法定相続人とは全く関係のない第3者の世話になって生計を立てていた場合、相続の時点でその世話人が特別縁故者を主張し、相続分を請求してくる事は、最近特によく見られるトラブルです。これも人間関係が多様になってきた事によるものですが、相続開始時に、突然この様な問題が出てくる事は、法定相続人に取っても頭の痛い問題です。今回はこれら特別縁故者の取り扱いについて紹介していきます。
被相続人が婚姻関係にない内縁の妻などに身の回りの世話をしてもらっている場合、その世話人は、被相続人に対して一定の貢献をしていると言えるので、法定相続人が相続の場合に、その貢献度合いに対して、相続分割がなされる場合は問題がありませんが、そうではなく法定相続人が不満に感じている場合、特別縁故者の相続主張はトラブルの元になります。基本的には法的に有効な遺言書に、これら特別縁故者への財産分与が指定されていても、生前接触がなく、相続時に初めて顔を合わせるなどという事になると、トラブルの元になると言えます。また被相続人に法定相続人が存在しなければ、縁故者としての権利を申し立てる事で、遺産の相続を受ける事は可能ですが、理解しておかなければならないのは、特別な縁故者の認定は、本人が主張する事で承認されるのではなく、あくまで本人の申立により、家庭裁判所が客観的に承認しなければ、特別縁故者としては認められる事はありません。特別縁故者として認められた場合に、初めて相続財産の分割請求が出来るという事になります。
従って、まず特別縁故者が被相続人の相続を請求する場合には、まず家庭裁判所での承認が必要であり、そこで承認を得られない場合は、いくら財産分割の主張を行おうと、その権利は認められないという事になります。この様に特別な縁故者として、相続が認められるケースは物理的に不可能ではありませんが、いずれにしても、簡単に認められるものではなく、難しい対応を迫られるでしょう。