包括遺贈について
相続上の遺贈がなされるケースについてはいくつかの手法があり、その中の1つとして包括的な遺贈があります。この包括遺贈の特徴は、遺産の全部に対して遺贈が行われる手法で、それらの分割割合を示す事が可能になっています。この包括遺贈を行うと、包括受遺者は通常の相続人と同じ相続権利を得る事が出来る様になります。但しこの分割割合は、被相続人の自由に遺産分割の割合設定が可能ですが、法定相続人の持つ遺留分は上位で優先される事項ですので、遺留分減殺請求権を申し立てされると、その申し立てには従わなくてはいけません。また、相続人と同じ権限を持つのは、プラスの財産だけではなく、負債などのマイナス面の財産分割においても同様に権利継承しますので、注意が必要です。
特定遺贈では、この包括遺贈と相続上似た行為となります。特定遺贈であれば指定遺産の相続ができる一方、負債を引き継ぐ必要のない点では、包括的な遺贈と大きく異なります。また死因贈与とも似ている点もありますが、包括的な遺贈が、被相続人から相続人への承認の必要のない、一方的な贈与であるのに対して、死因贈与は被相続人が贈与を受ける受贈者に対して、贈与を行うことについて承認を得る必要があります。受贈者が承認しないと、この死因贈与は成り立たないため、その点で大きく異なります。
注意すべきなのはこの包括遺贈によって、被相続人の残す財産はプラスマイナスの両面がある事です。仮に被相続人の財産よりも負債の方が多い場合、包括遺贈は負債も相続する事になる事から、受遺者には負債しか受けられないという事になり、大きなデメリットとなります。このような事が無いように、包括遺贈の場合でも、受遺者には相続の放棄と、限定承認を認めています。基本的に遺贈の放棄をする場合は、遺贈が被相続人から行われたその時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して放棄の申し立てを行う必要があります。また限定承認の場合は他の相続者と共同で手続きを行わなければならないため、注意が必要です。