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父の遺産相続のご相談です。
相続人は4人で、長女・次女の私・2人の弟です。遺言状はありません。
実家は自営業をしており、次男が跡を継ぎました。姉と私は結婚して家を出ています。
当初は長男が跡を継ぐ筈でしたが、父との折り合いが悪く、家を出てから帰ることは滅多にありません。
次男夫婦は休日も返上して働きながら、寝たきりで亡くなった母と、病気で倒れた父の看護をしてくれました。
ですので、次男には一番多く財産を分けたいと姉と考えています。
ところが長男は、次男と同等以上の相続分でないと納得しないと言っています。
長男は家や親のために何もしなかったので、次男と同じ分を相続するのは許せません。
長男が納得できるように、何か法的にでも次男に多く相続できる方法はありますでしょうか?
ご助言の程、宜しくお願い致します。
まずは長男に次男がこれまで休日返上してまで家業や父に尽くしてきたことを説明して、次男の相続分を他の姉兄より多くすべきことを長男が納得できるように相続人の間で話し合いをするべきでしょう。
それでも長男が納得しない場合は、次男への相続分を増やすため家庭裁判所に「寄与分を定める申し立て」をすることになります。
この場合、先にご回答がなされているとおり「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付,被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人」が申立人となります。
そして、申立人以外の共同相続人全員が相手方になります。
つまり、次男が申立人で姉兄が相手方ということになります。
家庭裁判所は、当事者から事情を聴いたり、必要に応じて資料の提出を求めたうえで寄与分とされる金額を定めます。
寄与分が決定されると、寄与分を除いた遺産の価額をもとに遺産分割協議が行われます。
したがって、寄与分が定められたあとの次男の相続分は、「寄与分+寄与分を除いた遺産の価額×法定相続分」ということになります。
当然、相続人全員の同意が得られればこれ以上相続することも可能です。
ご質問のようなケースについては、過去に判例で寄与分が認められているので、遺産分割協議時に長男が納得しない場合は、家庭裁判所に相談されることをお勧めいたします。
次男の方は自営業を継いで、また、お母様、お父様の看護もされた。ということで、次男さんは、特別の寄与をした相続人。となるでしょう。
遺産分割に当たって特別の寄与をした者には、法定相続分のほかに寄与分が認められます。
相続人間で話し合って協議が出来れば良いのですが、できない場合は、家庭裁判所に寄与分を定める処分調停を申し立てることができます。
申立人は被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人です。まさしく次男さんです。
費用は申立人1人につき1200円です。
今後事業を継続していくに必要な財産(事業に用いている土地・家屋など)は、次男さんが相続するのが一番良いと思います。
まず、相続人間でとことん胸筋を開き過去の経緯を確認し合い納得のいく解決を見出す努力を尽くしてください。
それでも解決しないとき、最終手段として家庭裁判所への調停申し立てを行うことになります。既に、回答にあるとおりです。ここでは回答にない点にしぼり解説させて頂きます。
遺産分割を法定相続分通りに行うことが妥当でない場合、公平を図ることを目的として寄与分があります。しかし、寄与分をそのまま認めてしまうことに納得のいかない相続人は、遺留分を主張することができます。今回は、ご長男にこの権利行使の可能性があります。
そこで、寄与分と遺留分の関係についてご説明します。
寄与分は、相続財産の維持・増加に特別の寄与があった者にその維持・増加分を与えようとするものであり、一方、遺留分は相続人に一定割合の相続分を保障するものです。
寄与分については、家庭裁判所の審判手続きですが、遺留分減殺請求については、訴訟手続きとなります。ただし、全員の合意があれば一括協議、調停の余地もあります。
法律上の明示はありませんが、遺留分の減殺請求の対象に寄与分は入っていません。したがって、寄与分は遺留分に優先しているということがいえます。ただし、遺留分の侵害をするほどの寄与分を認めることはかなり例外的です。
そこで、話し合いで寄与分を主張する場合、遺留分を侵害しない範囲内でするといいでしょう。お互いの立場を理解し合い、あくまでも相続人間での納得の話し合いで解決されることを期待します。
ご相談者の心境は十分理解ができるところです。
しかしながら、相続において起こりえるお話ともいえます。
ご相談の内容から相続人間の「協議」ではなかなか解決に至ることが難しいように思います。
ご長男におかれましても相続財産の分配について、ご自身と次男を比較してみれば本当は理解ができる話だと思いますが、自身の受け取れる権利を主張しなければならない事情があるのかもしれません。
これまでの回答にもあるとおり、本件のご質問に置かれましては次男の「寄与」はおそらくじゅうぶんに主張できるものと思いますので、内ではなく、外での解決(「家庭裁判所」)に処分を求めたほうが良いと思います。
兄弟姉妹間でこのような状況になることはつらいことと思いますが、第三者(裁判所)を通じ、単なる解決ではなく、お兄様が理解してくれることを願います。
そして、相続人の皆様におかれましては、今後事前対策としての「遺言」の重要性にもご理解頂ければ幸いです。