遺産相続の悩みを無料で専門家に相談できる
母が病気で現在入院しています。先が長くないのですが、母が入院中に亡くなった場合、
母の銀行預金から引き落としする事は可能でしょうか。
その預金から入院費を支払いたいと思っております。
本人が亡くなると口座が凍結されるという話を聞いたことがあり、預金がそちらにまとまっているので、いつどのくらい下ろしておくべきなのか家族で相談しています。
母が亡くなってしまった瞬間に、預金は遺産という扱いになりますか?
それとも死亡届を提出した後になりますか?タイミングが知りたいです。
相続手続きが必要になる場合、時間がかかってしまうでしょうか。
いくつも質問してしまい申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。
ご相談ありがとうございます。
お母様が入院されていらっしゃる。いろいろご心配ですね。
お母様の入院費用、またそれ以外にかかりそうな費用は、今の段階でお母様からの依頼ということで、おろされておくのが良いでしょう。
もしお母様がお亡くなりになった場合、銀行に亡くなったことを伝えると口座が凍結されます。定期預金などは言わなくても本人でないとおろすことは出来ません。
又、銀行に言う前に銀行の担当者の方が知ったらその時点で凍結されるかもしれません。
特に死亡届を出した時点ということではありません。
お亡くなりになった後の相続手続きには時間がかかります。
相続人を特定するための戸籍、遺産分割協議書、相続人の実印、その他銀行指定の書類など必要で、銀行に提出後1週間から1か月はかかります。
今の段階でご家族と相談の上、当面かかる費用はおろしておかれることをおすすめします。
各銀行の取り扱いなどは様々であり、実際には私の回答と異なる点もあるかもしれませんが、ご参考になりましたら幸いです。
●相続開始のタイミングについて
お母様が亡くなられたときに相続が開始し、預金も遺産となります。
死亡届を提出してから相続が開始して遺産になるというわけではありません。
遺産ですので、遺言がなければ、相続人が遺産分割の話合いのなかでどのように分けるかを決めていくのが通常の流れです(厳密には預金債権は遺産分割の対象にならないのですが、ここでは説明を省きます)。
●口座凍結のタイミングについて
銀行は、死亡の事実を知った時に入出金の停止手続きをして、口座を凍結します。銀行からは相続人の範囲や遺言の有無などもわかりませんので、相続トラブルに巻き込まれるのを防止するため、まずは口座を凍結するわけです。
銀行が死亡の事実を知るきっかけですが、相続人からの申出・届出によることが多いとは思います。もっとも、銀行が新聞のおくやみ欄等により死亡の事実を知った場合には、相続人からの申出・届出を待つことなく、口座を凍結するのではないかと思います。
なお、口座凍結した場合には、従前からの自動引き落としも停止するという取扱いがありえますが(法律上は、死亡により自動引き落としの準委任契約が終了することになります)、相続人全員の同意を得て、自動引き落としを継続する取扱いもあり得るかと思います。ここは各銀行のマニュアル次第かと思います。
●凍結された口座からの引き出し方法について
凍結された口座から預金を引き出すには、通帳やキャッシュカードのほか、相続届などの書類を提出し、添付書類として、被相続人であるお母様の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明などの書類が必要になるのが一般的です。相続人の数や人間関係にもよりますが、ある程度の時間はかかります。
なお、相続人間でのトラブルが予想される場合などは、各相続人が単独でその相続分に応じて預金の払戻請求の訴訟を提起することも一つの方法です。
●さいごに
ご家族が入院されているだけでも大変ですのに、今後のことも考えるとどうしていいかわからないと不安も大きいと思います。
お母様の病状がわからないため何とも言えませんが、まだ意識がはっきりしているのであれば、本人の了解を得たうえで、入院費用や葬儀費用分について引き出しておくことが良いのではないかと思います。
認知症などで、意識もはっきりしない場合は対応に苦慮するところですが、相続人全員できちんと話し合って、後々にトラブルになることがないようきちんと合意を形成しておくことが大切かと思います(このような場合、成年後見人を選任して財産管理をしてもらうのが本則でしょうが、選任には1か月以上はかかると思います)。
少しでも不安が解消されましたら幸いです。