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財産分与のことで困っております。父が亡くなって、私たち夫婦は母との同居を始めました。同居から5年すると、母に痴呆が出てきました。主に妻が見てくれていたのですが、元々気の強かった母は、ボケてから周りに暴言を吐いたり、時には物を投げたりと随分手を焼きました。温厚だった妻も負けまいと、いつかの母のようにいつの間にか気の強い性格になりました。
私には姉がいて、母を引き取ってくれるなら実家(両親が住んでいたが空家の状態)の権利は譲る。
今後も介護を引き受けないつもりなら、実家の権利は放棄してほしいと条件を出しました。姉は渋りながらも、私たちに実家の権利を渡しました。すぐに印鑑を押してもらいたかったのですが「今すぐ押すといった覚えはない」となあなあに流されてきました。
それから6年して、母が亡くなりました。姉に印鑑を催促したところ、とぼけられてしまいました。
姉は、相続の権利を主張するつもりです。
印鑑を断られた際に、直筆で『母が亡くなった時に改めて送ってほしい』という内容が書かれた手紙は保存してあります。遺言書もない場合、姉にも権利が発生してしまいますか?
実家は古く、土地代のみ価値がある状態であり、田舎なので高額は望めません。
ご相談頂き、ありがとうございます。
1.相続の放棄は、相続の開始後に、家庭裁判所に申述書を提出して行う必要あるため、残念ながら、お姉様による実家の権利の放棄の意思表示は法的に有効ではなく、遺言書がない場合、ご相談者とお姉様が2分の1ずつ相続していることになります。
2.ご相談者様が、お母様の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたと認められれば、遺産分割により、その寄与分だけご相談者様が多く相続することが認められる余地があります。
3.改めて考えると、本件は、ご相談者様がお母様から実家の不動産の生前贈与又は遺贈を受けておくべきだったと言えると思います。
(もっとも、お姉様が遺留分を請求してくることはありえます。)
ご相談頂き、有難うございます。
白滝さんのご相談についての回答をさせて頂きます。
この度の件に関しては、白滝さんにはお気の毒ですが、
お姉さんにも相続権はあります。
ですから白滝さんとお姉さんでお母さんの財産を
相続することになります。
このように書いてしまいますと回答は終わりという事になりますが、プロナビ回答は多くの方が見ておられますので、
同じ悩みを持っておられて、その悩みが現在進行中の方および同じ悩みが将来見込める方のために、以下の回答をします。
相続争いは、白滝さんのようにいざ相続が発生(親が死亡した場合など)してから具体化します。
また、将来に相続争いが懸念される場合であっても、親が認知症になってしまったら、親の生前に遺言書を書いてもらうことも不可能(認知症の方は遺言書は書けない)です。
また、親御さんを労わる義務は放棄して権利ばかり主張する人が親族にいる場合は、将来相続争いが起きる可能性は大です。
ですから、同じような状況になることが懸念される方は、
親がまだ元気な内に、お盆やお正月などで親族が一堂に会する時に
将来親が介護など必要になった時にはどうするか、
ということを話し合われることをお勧めします。
家族の生活環境は刻々と変化していきますから、現在において決められたことが将来そのまま約束されるとは限りませんが、
そのような話し合いをしておくとそれぞれの親族の考え方もおのずと判明しますので、親族の考え方に困った者がいる場合などは、
親が元気な内に遺言書を書いて貰うとか、親の生前に贈与をして貰うなどの選択肢はありますが、親が認知症にかかってからや亡くなってからではどうすることもできません。
親が元気な内は、この様な話をする事自体タブー視されていますが、白滝さんと同じような局面に立たされる方は数多く発生すると言っても過言ではありませんので、白滝さんの事を他人事とは思わずに自分の事として一度よく考えてみてくださることをお勧めします。
被相続人となる方(ご相談の場合はお母様)がご存命のうちに相続放棄をしても、それは無効で、お姉様にもご相談者様と同じ分の相続権があることになります。
ご相談者様がご実家に住み続けたいということであれば、その不動産の価格のうちお姉様の相続分について、現金を支払うか他の相続財産をお渡しするということになります(代償分割といいます)。
お母様の介護でご苦労されたご相談者様や奥様のお気持ちはよくわかりますが、直接お姉様にそのことを主張しても、感情的になってこじれてしまうでしょう。
法律的には相続分は同等ですが、どなたかお姉様も信頼されている親しい方がいらっしゃるようでしたら、その方にお願いして、ご相談者様ご夫婦がどれだけ介護で苦労されたかをお話しいただき、ご説得なさっていただくということも一つの方法でしょう。
権利を主張しあうと感情的になってしまいますので、情に訴えてお姉さまにご理解いただくことが必要だと思います。