利益相反行為について
被相続人の残す遺産の相続上、一見なんら問題がない行為であると考えても、相続の法律上の解釈では、問題が生じる可能性がある場合があります。いくつかのこれらの行為の内、よく見受けられるのが、未成年者の相続に関わる事柄となるのですが、代表的なものに利益相反行為があります。これは例えば未成年者の相続の放棄などの意思表示を行う場合に、相続を受ける未成年者本人から見て、利害関係者がその意思表示の代理人をした場合、それは利益相反行為となってしまうのです。
正確な法律知識のない方からすると、未成年者の相続の意思表示は出来ないという常識的な観点から、悪気もなく、むしろ場合によっては善意で、代理人としての申立行為を行なう事に問題を感じる事はないでしょう。しかし当事者がそうであっても、法律上は未成年者は相続の判断が出来ないという事になっていますので、個人差があっても関係なく、その代理人は本人の最善の相続を考える事が出来る、第3者を代理人として選定する事が必要です。但し、家庭裁判所に申し立てを行ない、選出された代理人に依頼をするのは抵抗があるという方もいるでしょう。そのような場合には弁護士等に代理人を依頼するのが良い方法だと言えます。弁護士であれば、未成年本人の代理人になれば、その他の利益相反になる依頼者の代理人には、同時になれない弁護士規定がありますので、第3者としての立場となる事が可能なのです。
一旦相続が開始され、相互に相続人となってしまうと、遺族としての人間関係よりも、相続協議上では、法律上の相続人同士としての立場が、優先されてしまう事になるという事を十分に理解しておく必要があります。この様なケースが予想される場合には、普段から法律の専門家である弁護士等との関係があれば、非常に頼りになりますので、その辺を十分に考慮の上で、気軽に相談が出来る関係を構築しておき、安心して確実に相続処理が行える様にしておく事が大事だと言えるでしょう。