法定単純承認について
通常被相続人が死亡した場合、その相続人へ財産を残す方法には様々な方法があります。一般的には法的に有効な遺言書を残す事で、遺産の分割を行うのが被相続人の意思も反映され、最も良い相続の形ですが、当然遺言書を残すことなく亡くなってしまう方も少なくありません。そのような場合は法律の定めによって各相続人に遺産が分割されます。この分割割合を法定相続分と呼びますが、相続人側から見てこの法定分割を承認し、そのまま相続として進める事を法定単独承認と言います。
法定単独承認とは、被相続人の残した遺産の全てを相続人全員で共同遺産として受け取り、プラスの遺産と借金などのマイナスの遺産の全ての遺産を、法定で定められた通りの割合で、相続人全員で分割するという事です。この法定単純承認で遺産分割を行うメリットは、下記の通りになっています。
- 遺言書が無いため相続人相互の公平感が高く、遺産分割協議の進行が円滑に進みやすい。
- 協議についての内容は法定相続分に従って分割されるので、トラブルが起きにくい。
- 被相続人が死亡した段階で、遺産は全て共同遺産として管理されるので、不意に遺産の処分等が行われる心配が少ない。
- 遺産の法定相続分に従った分配なので、課税算出が単純である。
この様に、公平な遺産分割が行える遺産分割方法だと言えます。
しかしながら、その一方で法定単純承認の場合にはデメリットもあります。具体的なデメリットの内容を紹介します。
- プラスの遺産を分割され受け取る事が出来るが、負債があった場合は、負債も受け取らなければならないというリスクがある。
- 遺産分割をするには、関係する相続人全員の合意を得る必要がある。代襲相続等があった場合も同様の合意が必要になる
- 全ての遺産についての平等な遺産分割となるので、遺産内容が複数の内容になる場合、名義変更等の手続きが大変となる。
この様に、あくまで公平な遺産分割に重点を置いているため、それに伴ってのデメリットもある様な分割方法となっています。法律上の遺産分割の取り決めはありますが、早期の分割となるように各相続人の合意は円滑に進めるのが良いでしょう。