戸籍について
被相続人が亡くなり相続が開始され、複数の法定相続人が相続分割協議を開始する前に、必ず用意しておくべき書類の中に、被相続人の戸籍があります。これには現行の登記や閉鎖された登記の他に、過去の戸籍制度改正前の旧戸籍も全て含まれます。その理由は改正後の登記には結婚、死亡、戸籍変更などの重要事項しか記載されないため、実子が何人いるかどうかまでの詳細情報は記載されません。つまり被相続人に過去婚姻記録があった場合、法定相続人になり得る、子が存在する可能性があり、相続権利を主張する可能性があり、後でトラブルになるリスクがあるのです。
これらは改正原戸籍と呼ばれていますが、相続分割がなされる場合、被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての経過を明らかにする必要があり、全ての経歴が開示された上で法定相続人が確定されなければ、上記の理由等により、相続分割にリスクが生まれます。この相続人を確定するために必要な作業となるのですが、資料を収集するには非常に多大な作業となるために、弁護士等の専門家に依頼するのが間違い無いでしょう。弁護士事務所であれば、司法書士等、その道の専門スタッフを整えている事が多いので、素人が作業するよりも効率よく作業を進める事が可能です。
また、全ての資料をそろえる事が出来ずに、相続分割を行った後で予期しない相続人が現れてきた場合、遺留分減殺請求権を主張すれば、当然本来分割されるべき割合に、相続を再分割する必要がありますのでトラブルの原因になり、最悪の場合、裁判沙汰になってしまう恐れもあります。その様な事がないように、十分に入念な確認をしておく必要があります。
謄本の請求をする場合に、注意しなければならないのは、被相続人の住居地が移動している場合、その時点の本籍地で資料を請求しなければならないという事です。この場合、資料を請求する当人が被相続人から見て配偶者か、卑属にあたる者、もしくはその法的代理人しか請求ができませんので、被相続人との人間関係の分かる本人の戸籍謄本の正本、または写しを提示しなければなりませんので、その辺りにも注意が必要です。