相続放棄について
財産を残した被相続人が死亡した場合、残された法定相続人で遺産の分割協議を開始することになります。この時に相続人が取れる選択は、いくつかの条件や状況に応じて変化します。では具体的にどの様な対応方法があるのでしょうか。
- 被相続人が遺言書を残していた場合、法的に有効な遺言書である場合、その遺言内容に従い、遺留分を侵害しない範疇で遺産分割を行う。
- 遺産分割協議を行い、法定相続人の遺留分を侵害しない範疇で遺産分割を行う。
- 全相続人の同意を得て、法定相続分割に従って遺産分割を行う。
- 相続を放棄する。
実際には相続分の譲渡や遺贈など、それぞれの環境に対応して取るべき選択もありますが、大まかにはこの4つの選択肢が相続人の取る行為となります。
ここで4.の相続放棄を選択する場合ですが、基本的に被相続人の残した遺産を相続放棄するという事は、プラスの資産、負債などのマイナスの資産の双方について放棄する事になり、特定のメリットがあります。では具体的にどの様な場合に相続放棄を行うのでしょうか。
- 仮に被相続人の残した遺産について、負債の方が資産を上回る場合、相続を受けても経済的なメリットが何もない場合。
- 被相続人が残した遺産が事業など、換価不可能であり、また分割相続では事業が成り立たない場合で、継承者が相続人の間で既に決まっている場合。
- 残された他の相続人の分割資産を多くする等の善意の配慮によるもの。
これらはいずれの場合でも、債権放棄を行った方が良いケースだと言えます。
債権放棄を行うと、相続権利の全てを放棄することになります。相続分の譲渡などでは、限定された権利を譲渡したに過ぎず、リスクを抱えたりその後の手続きは省略出来ない等、色々と面倒さが残ります。状況により、より良い判断が必要ですので、弁護士等に相談しながら選択を決定すべきですが、相続をするメリットが感じられなければ、相続放棄を選択するのが無難だと言えるでしょう。