遺言能力について
財産を残す被相続人が15歳以下の未成年者であったり、判断能力に影響のある重度の身体障害者であったり、未成年者の代わりに親が作成した遺言書などについては、その遺言能力がないために、無効とされています。遺言書が作成出来ても、遺言を作った被相続人に、その作成能力が問われる等の問題がある場合は、遺言の内容が適正に考慮されていないというのが法的な解釈です。
ところが未成年者の遺言書の代筆については、この様な問題になる事が多く、また逆に障害者であっても、意思疎通に問題なく、判断能力を有する障害者であれば、遺言書を作成する事は可能だという判断になっています。この様に遺言能力の有無については、色々な判断が必要になるのですが、その作成の可否について勘違いをしているケースが目立ちます。特に最近増加してきている問題に、高齢者の遺言能力についての問題があります。例えば、痴呆であるかどうかを判断するために、医療機関での診断が被相続人に認められれば、明らかに遺言能力に問題がある事は明白で、また医療診断も利用できますが、疑いがあるというレベルでは、その事で病院に行くという事に拒否感を感じる被相続人もいるでしょう。このような場合、その遺言書が本当に判断された上で作成されたものなのかどうかは、非常に判断が難しい所だと言えるでしょう。
老化による物覚えの劣化は誰にでも起こる事ですから、やはり遺言書は出来るだけ早期に作っておく事が大事です。公証人役場で作成した遺言書であれば、作成から20年間は公証人役場での保管期間がありますので、機を見て適切なタイミングでの遺言作成をしておく事が大事です。また被相続人の遺言書の作成能力に疑問を感じた場合は、端的な判断で遺言書を作成してしまわず、弁護士等の助言をもらいながら遺言書を作成していくのが間違いのない方法だと言えます。仮に被相続人の遺言書の作成能力に問題がありそうであれば、 同様に弁護士に依頼するのが良いでしょう。