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相続のやり直しがしたいのですが、以下のケースでは可能でしょうか?
遺産分割協議の手続きは既に終わっています。
母の遺産相続時、相続人である兄弟たちで遺産分割協議をした際に
いろいろ話し合いの末に条件付きで私は相続放棄をすることにしました。
最近わかった事なのですが、家を継いだ次男が他にあった母名義の口座預金を隠し持っていたようです。
他の兄弟の話によると、まだ他にも隠している預貯金があるようなのです。
このケースで、相続放棄した遺産分割協議書の撤回は出来るか否か教えて下さい。
他の相続人は相続のやり直しに賛成しています。
兄だけは反対していますが…兄も承諾しなければ撤回は出来ないものなのでしょうか?
はじめに、相続財産の調査段階で全ての資産(財産)を調査し、
相続人が全員確認の上、分割協議をしなければならないことは承知のことと思います。
ご質問についてですが、おっしゃるとおり相続人全員の合意が必要になりますので、お兄さんの承諾が要ります。
お兄さんの承諾があっれば再度協議の上、やり直すことはできますが
税務上の問題がでてくる可能性があります。
税務上、遺産分割のやり直しは、遺産分割とはみなされないので、
贈与等の課税対象となるかもしれません。
しかしながら、もともとの遺産分割協議が法律上無効で成立していなかった場合には話が変わってきます。
それは、遺産分割協議に参加していない相続人がいたり、あとから相続人が現れたり、相続人の誰かが遺産を隠していた場合などは、そもそも遺産分割協議自体が無効で成立していません。
この場合は、遺産分割協議を必ずやり直さなければなりません。
ご質問の内容だけから判断すると、
無効により再度協議をしなければならない状況に該当する可能性があります。
この場合は税法上も通常の遺産分割とみなされ、
相続税がかかっている場合には、相続税の修正申告や更正の請求を行います。
相続税の課税対象かどうかによって、行わなければならないことが出てきますが、本件のご質問については「可能」となります。
それと併せて、「相続放棄」です。
裁判上の手続で「放棄」をしたのであれば、「取消」をする必要がでてきますのでその点もご注意ください。
まず、今回わかったお母様名義の預金の名義変更や解約の手続きは、その分についての遺産分割協議書がなければ金融機関は認めてくれないでしょう。他に隠している預貯金があるとすればそれらについても同様です。仮に次男様が何かの方法でご自身の名義に変えていたとすれば、それは私文書偽造や詐欺の罪に問われる可能性があります。
また、次男様がお母様の財産を故意に隠して遺産分割協議を行ったのであれば、それも相続や遺産分割協議に関する手続き以前の詐欺にあたる可能性があります。
詐欺による意思表示は取り消すことができ、次男様以外の相続人がそれに賛成するのであれば、以前に締結した遺産分割協議は取り消すことができるでしょう。
相談者様は相続放棄したとのことですが、それは家庭裁判所に申述して行ったのでしょうか。
もし、そうであるならば相続放棄の取消しについても家庭裁判所に申述して行います。ただし、この場合の取消には、その取消し原因を知った時から6か月の時効があります。(民法第919条2項~4項)
仮に今わかっている預金の存在を知ってから6か月以上経過しているのであれば、次男様はまだ他にも隠している預貯金があるようとのことですので、そのような事情を家庭裁判所に告げて相談してみてください。
次男様が、どうしても以前の遺産分割協議の取消しを承諾しないようであれば、法テラスや弁護士に相談してみてください。