相続財産管理人について
相続上の問題は様々な内容に関する問題がありますが、被相続人が死亡した後、以下の状態が認められれば相続人不在となり、相続財産管理人を立てる必要が出てきます。
- その被相続人に対する相続人の存在が明らかではない場合。
- 被相続人の戸籍記載上、想定相続人の存在が認められない場合
以上が条件となります。
1.の場合は、相続人の生死による存在を指すのではなく、存在自体を指すものです。生死不明や行方不明については、失踪宣告や不在者の扱いとなりますので、また別の財産管理方法を選択しなければなりません。
相続財産管理人は、裁判所から選定されるのが一般的ですが、債権者やその他利害関係者が管理人の申し立てを行う場合には、費用面についてよく考える必要があります。というのもそもそも遺産がプラスの財産となって残る可能性は、その遺産を精査しなければ誰もわからず、仮に遺産の精査によって、マイナスの財産しか残らない事が判明した場合は、その申し立てにかかる費用は本人に戻ってこない可能性があるという事です。また、この申し立てを行い、相続財産管理人が管理業務を行い、全ての遺産が明らかになるのに1年以上かかる場合もざらにあります。つまり、申し立てに関わる費用が返還されるのはその後であり、これは申立人について、経済的に大きな負担となりうる可能性があるという事なのです。これらのリスクを考えると、安易に相続財産管理人の申し立てを行うのは、非常にリスクが高いという事になります。
またケースによっては、被相続人の残した遺産に対し、全ての相続人がその遺産を放棄した場合であっても、相続人不在の状態となり、相続財産管理人の申し立てが必要になる場合があります。この様な場合は、遺産の債務の方が多い場合がある程度明らかですので、申し立てを行うメリットが少なく、そのまま処理がなされないままとなる可能性が高くなりますので、処理を弁護士等の法律の専門家に依頼するのが間違いのない選択だと言えます。