相続関係説明図について
被相続人の持つ遺産を、複数の法定相続人で遺産分割協議を行い、法律の定めに従って分割する場合に、可能な限り円滑にその協議を進める事は非常に重要な要素です。血族や肉親同士だからこそ、一旦互いにもめ始めると、人間関係の修復は非常に難しくなるため、その後の人生にも大きく影響を及ぼします。従って協議を出来るだけ分かりやすく進められる様な資料を用意する事は、協議を迅速に合意へと導くために非常に大事なことだと言えるでしょう。この様に分割協議を行う場合に、被相続人と、関係する全ての相続人との人間関係を理解するために、よく用いられるのが相続関係説明図です。
被相続人を中心とし、それぞれの相続人との相関関係を図示する形式で記載された説明図は、分割の割合などを理解するには非常に便利です。またこの相続関係説明図は、ただ協議に利用出来るというだけではなく、相続後の各名義変更手続きにも利用出来るのです。通常遺産の名義変更を行う場合、戸籍謄本の提出を求められますが、相続関係説明図を提出する事で、謄本の原本を返却してもらえ、何度も謄本を取る手間や費用が省けるので非常にメリットが大きいのです。戸籍や除籍、原戸籍の謄本を必要とせず、それぞれの相続関係者が、被相続人との遺産分割上の関係を明確に記載した資料として、有効活用が可能です。
当然ながらこの相続関係説明図を作成する場合、個々の証明資料と時系列的にも、その関係も正確に記入、表現がなされている必要があるので、作成時には全ての証明書類をまずは一通り取り揃える必要があります。また、複数の事象を示す証明があった場合でも、その内容に変化がない場合は、最も新しい日付での内容が記載される必要があります。これらの関係証明資料は、それぞれに記載されている意味も理解しておかなければならないため、出来れば作成者は弁護士等の専門家に立会を依頼し、適切なアドバイスを受けながら正確な相続関係の説明図を作成するのが良いでしょう。