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遺産相続手続きに期限はありますか?
父がなくなり、四十九日を終えました。父は小さな工場の社長をしていました。父の生前から、母と私(長男)も工場で働いています。長女(妹)は他の仕事をしています。
父の治療費や、会社の仕事の遅れなどで、工場は今大変忙しくフル稼働しています。様々な手続きをしている時間がなく、相続の事には手を付けられない状態です。妹は平日に休みのとれる仕事をしていて、役所などにも行きやすいです。結婚してすでに苗字の違う妹なのですが、遺産に関する手続きを任せることは可能ですか。
父の遺産は、貯金も治療等で使ってしまったので、母と私と娘が同居する家のみです。
会社は200万ほどの負債がありますが、社長の名義は私に変えてあります。
質問をまとめますと
・遺産相続手続きに期限はあるか
・遺産である家を妻と息子の共同名義で引き継ぐ場合、長女に手続きをしてもらうことは可能か(長女は遺産放棄予定)
・会社の社長が変っている場合、前社長他界後にすべき相続手続きはあるか
わかりにくく申し訳ありませんが、宜しくお願いします。
遺産分割に期限はありません。ただ、相続税の申告は、被相続人が亡くなった後10か月という期限あります。ですから、10か月以内に遺産分割を終えなければ、各自の支払う相続税が算出できないので、それまでに遺産分割をした方がいいことになります。
不動産は、貴殿とお母様が相続する場合、遺産分割協議書を作成し、移転登記を司法書士に依頼します。それを事実上長女がすることは可能でしょうが、移転登記を依頼する司法書士に依頼すればやってくれると思います。
社長が変わる場合、登記を変える必要があります。その他、業務の承継に関することはケースバイケースです。おそらく担当の税理がおられると思うので、その税理士に必要な手続きについてアドバイスを受けるといいと思います。
ご相談頂き、ありがとうございます。
1.遺産相続手続については、(1)相続の放棄・限定承認について3ヶ月、(2)遺留分減殺請求について1年、(3)相続税の申告について10ヶ月というものがあります。
本件では、妹さんの相続放棄について上記(1)の3ヶ月の期限と、相続税の申告について上記(3)の10ヶ月の期限を遵守する必要があると思われます。
また、遺産分割自体には期限がありませんが、相続税に係る配偶者特別控除は、原則として、遺産分割が10ヶ月以内に完了していることを要件としていますので、ご留意下さい。
2.お母様とご相談者様の委任状等があれば、苗字の違う妹さんに、不動産登記変更を含む遺産分割の手続を代行してもらうことも可能です。もっとも、手続が煩瑣であるため、弁護士か司法書士に任せた方がスムーズに行うことができると思います。
3.社長の名義の変更とは別に、お父様は会社の株主でもあったでしょうから、株式についても相続手続(遺産分割)を行う必要があると思われます。
その他、金融機関との銀行取引約定書を始め、会社が締結している継続的な取引契約においては、社長(代表者)の変更を届出事由と定めていることが多いので、各契約書をご確認下さい。
4.会社を巡る法律関係は多種多様なものがございますので、お早めに弁護士にご相談されることをお勧め致します。
ご相談頂き、ありがとうございます。
まず、税金の関係を回答させていただきます。
所得税の関係では、お父様が亡くなられてから4か月以内に
準確定申告書を提出する必要があります。
通常所得税は、1年間(1月1日から12月31日まで)の利益金額に対して、翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告書を提出して所得税を納めることになりますが、
年の途中で亡くなられた場合には、亡くなられた年の1月1日から亡くなられた日(相続開始日)までの期間の利益金額を
相続人が計算して確定申告書を提出し、相続人が所得税を納めることになります。
その申告期限が4か月以内になっています。
これまでお父様が毎年やっておられた確定申告手続きを、
相続人がお父様に成り代わって行うものです。
次に、相続税の関係ですが、相続税が掛かる場合には10か月以内に
相続税の申告と納税が必要です。
お父様が、いつ亡くなられたのかが書いてありませんが、
平成27年以降の基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人の数」ですから、
相続人がお母さんと中年ジャンプさんと妹さんですと
法定相続人は3人となり、基礎控除は4,800万円になります。
お父様の財産は、預金はなくて住んでいる家と土地ということですから、この財産がいくらの価値があるかということがポイントになります。
この財産が4,800万円以下であれば相続税の申告と納税は必要ありません。
この財産の価値をどのようにして調べるのかは、
「家」は固定資産税評価額の金額ですから、
市役所から来ている固定資産税の通知書を見られると、
通知書に固定資産税評価額として表示されています。
また、土地の評価は、国税庁のホームページに「路線価図」という項目がありますから、そこから入って行けば、道ごとに1平方メートル千円単位で金額が示されています。
その金額に所有の面積を乗ずれば概算で相続税の評価額が計算できます。
このようにして算定した家と土地の金額の合計額が4,800万円を超えなければ相続税は掛からないということになりますが、
質問の内容では分からないのが、
工場の敷地や建物はお父様の財産なのかそれとも
会社所有なのかといったところです。
といいますのは、同族法人によくありがちな土地は社長の所有地で
法人に貸しているというものがあるからです。
このような場合ですと、もちろん工場も相続財産となりますから
計算して相続財産に入れることが必要です。
更に、同族法人の株式の価値です。
決算は赤字でも法人が所有している資産に含み益
(ずっと以前に1千万円で購入した土地が、現在1億円の価値がある場合など)がありますと、
お父様が持っておられる法人の株式がびっくりするような価値になることがありますので、
法人の株式の価値はどれくらいの金額になるのかを算定する必要もあります。
以上のようなことを全て考慮に入れて相続税の申告が必要か否かを判断する必要がありますが、「株価の評価」は簡単に計算することは無理ですから、会社の顧問税理士か相続に長けた税理士に相談されるのがよいでしょう。
しかしながら、会社の資産も大したことはない、工場も工場敷地も会社のものということであれば、取り敢えずは
{自宅と自宅敷地で4,800万円を超すか否かを判断}
されたら結構かと思いますが、
算定の結果が4,800万円ぎりぎりであったら、税理士に相談されることをお勧めします。
次に所有権移転登記(相続登記)の問題ですが、
登記には期限はありませんが、いずれはしなければならないものですし、長期間ほったらかしにしておくと、相続の権利がある人が
亡くなりますとその相続人がまた権利者となりますから、
ほっておけばおくほど権利関係が複雑になり、
何十年もほっておくと登記のために日本中を駆け回り
権利者の印鑑を入手するようなことにもなりかねませんから、
早くに済まされておく方がよいでしょう。