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遺産分割協議書に関して質問させてください。
父と私の共同名義で自宅を購入しましたが、父が亡くなりました。
しばらくして、遺産分割協議書の作成をローンで組んでいる銀行から、提出を求められました。
司法書士に相談したところ、相続に関係する人の印鑑証明が必要なので取ってくださいとのこと。
私には兄弟がおり、私は4人兄弟の次男です。三男、四男はすぐに証明書類を書いてもらうことができます。
問題は長男ですが、父に借金を押し付けたまま自宅を飛出し行方不明です。
生前父は兄にこれ以上お金を渡したくはないと言っていましたが、遺言はありませんが、兄いくら渡したかという明細は残っています。実物を見ていませんが、それを用いて長男に渡した金額を生前贈与の扱いにすることはできますか?
できれば父の意見を尊重したい(できれば私たちも渡したくない)のですが、居場所が今もわかりません。
長男からの書類が受け取れないかぎりは、家のことも相続のこともこれ以上話が進められませんか?
ローンの手続きだけでなく、相続による不動産の名義変更を行うために、法務局へお父様の出生から死亡までの戸籍謄本と相続人全員の現在の戸籍謄本、住民票、相続人全員の実印を押印した遺産分割協議書および印鑑証明書を提出しなければなりません。また、お父様名義の預貯金などがある場合は、金融機関から同様の書類の提出が求められます。。
◎このため、これら手続きを行うためにもお兄様の所在を確かめる必要があります。
お兄様が結婚などでお父様の戸籍から外れている場合は、外れた時点から先の戸籍をたどっていき、現在の戸籍を取り寄せます。
現在の戸籍がわかったら、その戸籍の附票を取り寄せてください。そこにお兄様の現在の住民票上の住所が記載されていますので、それで連絡を取って手続きを進めることになります。
大抵の場合、この方法でお兄様の所在を確認することができます。
これら、相続人の調査および遺産分割協議書の作成は、行政書士がご本人に代わってそれらの手続きを行うことができます。(ただし、協議自体は、相続人ご自身の意思にかかわることなので当事者同士で行わなければなりません。また、法務局への不動産の名義変更手続きは司法書士が行うことになります。)
今回の場合のように、不動産の相続の場合には司法書士もそれらの手続きを行うことができます。
住民票上の住所に住んでいなくて、所在が分からない場合は、家庭裁判所に不在者の財産管理人選任審判の申立てを行います。遺産分割協議を行うには、家庭裁判所の許可のもとでこの財産管理人が他の相続人と協議を行うことになります。
ただし、この場合はお兄様の法定相続分はお兄様に相続させないと家庭裁判所の許可が出ないことがありますし、お兄様の所在が確認できるまで長期にわたり不在者の財産管理人は定期的に家庭裁判所へ報告を行わなければならないということも考えておいてください。
その際、お父様がお兄様に代わって返済した借金が生前贈与とされるかは、その状況によって判断されることとなります。
なお、お兄様は家を出た後、結婚されて奥様やお子様がいらっしゃることも考えられます。お兄様が住民票上の住所に住んでおらず所在が確認できない場合で、それらの方やその親族、お兄様の友人などの誰もがお兄様の行方が分からなくなって、7年以上経過している場合は家庭裁判所に失踪宣告の申立てを行うことにより、法律上死亡したとみなすことができます。
その場合、お兄様にお子様がいらした場合は、お兄様の相続権はお子様に移りますし、死亡したとみなされた日が、お父様のお亡くなりになった日より後となった場合は奥様も相続権を持つことになりますので、それらの方々を参加させて遺産分割協議書を作成することになります。
お兄様が独身であった場合は、ご相談者様と他のご兄弟のみで遺産分割協議書を作成することができます。
また、お兄様と連絡が取れたものの、話し合いで協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てることとなります。お父様がお兄様に代わって返済した借金が生前贈与とされるかも、家庭裁判所での判断の材料となります。
遺産分割調停や失踪宣告の申立ての手続き方法については、家庭裁判所へ相談すれば教えていただくことができます。
ご相談を頂き、ありがとうございます。
1.相続人の中に行方不明者がいる場合は、(1)不在者財産管理人の選任、又は(2)失踪宣告を家庭裁判所に申し立てる方法により、相続関係の処理を図ることになります。
2.不在者財産管理人は、ご長兄の代わりに証明書類の作成等を行うことができます。しかし、遺産分割の協議を行い、遺産分割協議書を作成するためには、別途、「権限外行為の許可」を家庭裁判所に申し立てる必要があります。
3.失踪宣告は、不在者の生死が7年間不明の場合に、その7年の期間の満了時に、不在者が死亡した者とみなす制度です。
ご長兄が行方不明となってから7年を経過している場合、執行宣告制度を利用することができます。お父様が死亡した時点と、ご長兄が死亡したとみなされる時点の先後に従い、それぞれの相続が処理されることになります。
4.お父様がご長兄に渡したお金が、生前贈与(特別受益)となるかについては、明細やご長兄から予想される反論等をもう少し詳しく検討する必要があると考えます。