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相続について教えて下さい。
両親は私が小学生のときに離婚しています。
私と姉は母親に引きとられましたが、父親の戸籍に入ったままです。
母は実家の戸籍に戻り、旧姓になっています。
姉は今年結婚して新しい戸籍になりました。私は未婚です。
母が亡くなった際、母と戸籍の違う私と姉に相続する権利はありますか?
また、最近友達からの話で、親が死んで借金を相続した人がいると聞きました。
もしも父親が亡くなったときに借金があったら、戸籍からたどって
私に借金がまわってきますか? 結婚した姉にも関係してくるのでしょうか?
父親とはずっと連絡もとっていないので、実際借金があるか分かりませんが。
ご回答お願いします。
戸籍というのは,出生,身分関係などを証明する書類に過ぎません。同じ戸籍に入っているか否かで相続に関し何か変わってくることはありません。
母子関係があれば,母上がなくなった場合に,子供に相続権があります。子供が別の戸籍に入っていても同じです。
極論を言えば,子供が外国人になり,日本の戸籍から抹消され,外国に登録されたとしても,相続権はあります。
父子関係も同じです。父が借金を残して死亡すれば,子供が借金を相続します。
しかし,子供は,父に借金があり死亡したことを知ったときから3か月以内であれば,相続放棄できます。相続放棄すれば,借金を相続しません。
早速結論から申し上げますと
1.ご相談者様とお姉様にはお母様の相続権があります。
2.お父様に借金があった場合、ご相談者に「借金がまわってくる」ことはありますが、その借金をご相談者様が負わない方法があります。
ご相談者様が小学生の頃に離婚し、ご実家の戸籍に戻られたお母様の相続権についてです。
ご相談内容からすると、ご相談者様にも、ご結婚されたお姉様にも、相続権はあると思われます。ご相談者様とお姉様お二人が法定相続人の場合、相続分は二分の一ずつになります。
そして、お父様を相続される際の借金のご心配について。
相続をした場合、お父様に借金があれば、その借金も相続することになりますが、背負わなくて良い方法がありますので、ご安心ください(限定承認・相続放棄)。
限定承認:相続財産の限度において借金も相続(あなたが新たな借金を負うことはありません)。
相続放棄:相続財産・借金のすべて相続しない(相談者の方は相続時にさかのぼって無関係ということになり、あなたが新たな借金を負うことはありません)。
もう少し詳しくご説明すると、相続人は民法915条第二項により、相続の承認または放棄をする前に、相続財産の調査をすることができます。
そして、その結果、借金のあることが判明した場合には、922条により、相続財産の限度でのみ、被相続人(この場合はお父様)の債務(借金)を弁済(返済)することを留保して、相続を承認するという限定承認という制度があります。
また、借金があまりにも多額で、相続財産を持って返済してもとても返済しきれないという場合には、915条第一項により、自己の為に相続の開始があったことを知った日から3か月以内にする、相続放棄という制度もあります。相続放棄をした場合にはそもそも最初から相続人ではなかったということになります。
限定承認も相続放棄も家庭裁判所へ申述(申し立てる)ことが必要ですが、これらの制度を利用することにより、お父様の借金の取り立てで悩まなくてよくなるといえます。
お父様に借金があった場合にご心配のようですね。
お父様に借金(誰かの借金の保証人になっていた場合の責任も含みます)があれば、債権者の方がお父様の戸籍から法定相続人をたどってご相談者やお姉さんに支払を求められる可能性はあります。
すでに回答があったように、債権者から請求が届いたら、届いた時から3ヶ月以内にお父様の亡くなられた地域の家庭裁判所に相続放棄の申立をして、受理されれば、ご相談者は相続人でなくなります。
相続放棄は、相続開始を知ったときから3ヶ月以内に申立が必要ですが、「相続開始を知ったとき」とは、自分が遺産(負債も含みます)を相続する立場であることを知った時からとなります。
相続放棄の申立をして受理されますと、相続放棄受理証明書という書類がもらえます(申請が必要です)ので、相続放棄受理証明書を債権者に交付すれば、債権者は請求をあきらめます。
ただし、相続放棄の前後を問わず、お父様の財産を受け取っていたり、お父様の預金を解約したり、遺産を相続したと同様の手続きをとっていると相続放棄ができなくなったり、相続放棄を否定されて支払を求めて訴えられることがありますのでご注意ください。
実の親子間では、子が親を虐待していたなどの特別の事情がないかぎり、親子が全く別々の人生を歩んでいたとしても、子には親の財産を相続する権利があります(特別な事情があった場合でも、親が生前に家庭裁判所に相続人の排除の申立を行うか、遺言にその旨を記しておく必要があります)。
ですので、あなたとお姉さんは、お母様の分もお父様の分も相続する権利を有していることになります。
お父様に借金があった時のことを心配しておられるようですが、逆にお父様がお亡くなりになった時にプラスの財産があった場合には、その財産を相続することができます。
お父様とはずっと連絡を取っていないとのことですが、お父様が再婚なさっていて、お亡くなりになった時に奥様やそのお子さんがいた場合であったとしても、あなた方姉妹には法定相続分の相続権が存在することになります。
また、お父様が遺言を残しており、その中にあなた方姉妹へ相続させる旨の記載が無かったとしても、遺留分と言う法定相続分の2分の1の財産を相続する権利が残ります。この遺留分を請求する権利のことを「遺留分減殺請求権(いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん)」と言います。(この権利の行使の仕方は、ここでは割愛させていただきます)
まだ、いつのことになるかわかりませんが、お父様がお亡くなりになった際には、むやみに相続放棄するのではなく、まずお父様の財産がどのようになっているか、他に相続人はいないかの調査をすることをお勧めします。その時に、お父様が別の家庭を持たれているのであれば、そのご家族にそれらのことを質問してみましょう。
先に、お父様にプラスの財産が残った場合や、別のご家庭を持たれていた場合を回答いたしました。ここでは、お父様に不動産などのプラスの財産があるけれど、借金などのマイナスの財産(債務)もある場合などで、その不動産などを売却して債務の返済に回した場合に、全部返済できてプラスの財産が残るか、それでも債務がのこってしまうかわからないといった場合を説明します。
不動産などがいくらで売れるかは、実際に売却してみないとわかりませんので、債務を返済しきれないかもしれませんが、高く売れれば残った分を相続することもできるので、相続放棄をするのはもったいないですね。
そのような場合は、限定承認という手続きが行えます。限定承認とは、被相続人(お父様)の財産でのみ債務を精算し、それでも債務が残ったとしても相続人(あなた方)はそれを負担しなくて良いという制度です。この場合、精算してプラスの財産が残った場合には、それを相続することができます。
この手続きは、相続人全員で家庭裁判所に行う必要があります。ですので、お父様が別の家庭を持たれていて、あなたとお姉さん以外の相続人がいる場合には、その人たちと一緒に行わなければなりません。また、お父様が亡くなり相続が発生したことを知ったときから3か月以内に行う必要があります。
手続きは相続放棄を行う場合より煩雑になりますので、専門家に相談してください。
お母様が亡くなった場合、戸籍は異なっていてもお姉様とご質問者様はお母様の相続人となり財産を相続する権利を有することとなります。
同じように、お父様が亡くなった場合もお姉様とご質問者様はお父様の相続人となり財産を相続する権利を有することとなります。
この場合、お父様が亡くなったときにマイナスの財産(借金)を有している場合は相続放棄をしなければ、相続人であるお姉様とご質問者様のどちらかもしくは相続人共有で借金を相続することとなります。
相続放棄についてですが、相続放棄をする場合は相続の開始があったことを知った日から三ヶ月以内に相続人がそれぞれ家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。
相続放棄の場合は、プラスの財産とマイナスの財産の両方を放棄することになりますので注意が必要です。