• このエントリーをはてなブックマークに追加

 ~生前の相続放棄について教えて下さい。
いろいろ事情がありまして、親との縁を切りたいと考えています。(父親も母親もその事については理解しています。)今後一切会う事もなく、また連絡も絶つ事になりますが、近い将来に父親か母親が死亡した時に起きる遺産相続について懸念しています。私には兄弟姉妹もおらず一人っ子なので、親のどちらかが死亡した場合に必然的に連絡したり会うことになる可能性があります。こちらとしては遺産相続があったとしても相続する気もなく、また相続の問題で会うことになっても困るので今の内に相続放棄をしたいです。しかし、「生前の相続放棄は出来ない」と聞いた事があるのですが、どうしても親の生前に遺産放棄をしておきたい場合は何か方法はあるでしょうか?ご回答をよろしくお願い致します。

2015年02月10日投稿者:ニコライ(50代男性)
  • 156人に評価されました
  • 専門家回答 2件/返信 0

専門家からの回答

仲江 武史弁護士
仲江 武史弁護士

ご両親の生前に(確定的に)相続を放棄することはできず、ご両親の死後改めて、家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出する必要があります。

ご相談者様のご要望に最も沿う方法は、ご両親のそれぞれに、遺産をご相談者様には一切相続させない(全てを第三者に遺贈する)とともに、弁護士を遺言執行者に指定する、という内容の公正証書遺言を作成してもらうことではないかと考えます。
そうすれば、ご相談者様から遺留分減殺請求をしない限り、ご相談者が財産を相続することはなく、また連絡を取るとしても遺言執行者ととの接触で済むことになるからです。

もっともご両親が遺言を撤回・変更することができるため、この方法も確定的又は確実なものとは言えませんので、ご了承ください。

2016年01月02日22時08分
立山 昭浩行政書士
立山 昭浩行政書士

 相続権は、被相続人(今回の場合はご両親)がお亡くなりになった時点で発生するので、生前に相続放棄をすることはできません。
 また、法的に相談者様とご両親との親子関係をなかったことにする(縁を切る、勘当する等)こともできませんので、相談者様の相続人となる地位も無くすこともできません。

 唯一考えられるのは、家庭裁判所に対して「遺留分放棄の許可」を申し立てて認められることですが、これが認められるには下記の条件が揃っていることが必要です。
 ①放棄が本人の自由意思にもとづくものであるかどうか
 ②放棄の理由に合理性と必要性があるかどうか
 ③これまでに相続に相当するものをもらっているかや、放棄と引き換えに現金を受け取っている等、代償性があるかどうか

 ①については、放棄を被相続人や他の相続人等から強制されたものでないことであるということで、今回の場合は問題ないでしょうが、②③の条件を満たすかは、今回の相談内容からは判断できません。
 ②の例として、お父様がアパート経営や農業などをしていて、家業を長男が引き継いで一緒に行っている場合、アパートや農地などを他の相続人と分割するわけにはいきませんので、長男が相続する必要があるなどの理由が挙げられます。
 ③は、無条件に放棄を認めるのではなく、放棄する側が申立てを行う時点ですでに相続を受けたに相当する特別受益を受けていることが必要ということです。

 ご相談の場合、ご両親二人に対してどちらとも上記の条件を満たす必要があります。
 遺留分とは、遺言で相続が受けられないことになった配偶者、子、直系尊属であっても法定相続分の一定の割合を確保できるという割合です。
 ですので、「遺留分の放棄」ということは、ご両親が遺言にご相談者様に相続させないことを記載していることが必要になります。遺言を残さないでお亡くなりになった場合には、遺留分放棄の許可を受けていたとしても、ご相談者様は法定相続人として相続権を持つことになります。

 この条件を満たさない場合は、ご相談者様は事前に相続権を放棄することができませんので、ご両親がお亡くなりになった後に相続放棄の申立てを家庭裁判所に行うか、遺産分割協議の段階で、他の相続人(今回の場合は先に亡くなった親御さんの配偶者側)との間で相続を受けない旨の遺産分割協議書を作成する必要があります。
 今後、ご両親と関わりを持ちたくないということですが、ご両親がそれを認めている場合でしたら、お亡くなりになったことだけは一報を入れていただき、相続放棄の申立てを家庭裁判所に行うということをご両親と話し合っておくことが必要でしょう。

 ただし、ご相談者様には兄弟姉妹がいらっしゃらないとのことですので、ご両親のうち後にお亡くなりなった方の相続人はご相談者様だけになるでしょうから、その場合は相続財産がマイナス(借金が残っている等)になるなどでなければ、相続の放棄をする必要はないでしょうか(相続の放棄をするかはご本人の意思によりますが)。

2015年02月16日09時38分

関連する悩み相談

関連する基礎知識

関連するキーワード

職種から専門家を探す
専門家ランキング
  1. 第1位 →
    宮野尾昌平(司法書士)
    長野県
  2. 第2位 →
    坂田大祐(弁護士)
    兵庫県
  3. 第3位 →
    戎卓一(弁護士)
    兵庫県
  4. 4位 →
    小屋敷順子(税理士)
    熊本県
  5. 5位 →
    橋本隆亮(弁護士)
    福島県
注目タグ一覧
基礎知識